小学校の書初め大会、お題「初まいり」
だった。初は左側が難しい
「ま」は最後のところが三角になるように
「い」は思い切り右がわを元気よく見せて
慎重に押さえる。りは左を少しにして
つなぐ気持ちでたっぷりと、きゅうり、のように
そしたら「特選」になって県大会に出ることになった。
大会に行くと昨年の経験者は、すでに瓶の中に家で磨った
濃い墨を持ち込んでいた。墨汁のようなもの。僕は、初めてで
知らないから、学校の水を汲んで来て、硯に入れて墨を磨った。
しかし、練習に消費してしまい、墨がみるみる減った。
父が、「墨を磨るから、お前、字を練習しろ」感謝した。
すると、僕の書道の先生(森狭江)が、やってきて
「親に墨を磨らせるなんて、自分でやりなさい」
仕方がない。家で作ってきた連中に負けてしまう。
しかし、仕方がない。いよいよ「競書会」開始、
半紙2枚。右の隅に小さな印が押してあった。一枚目、
緊張のあまり、ささっと早く書いた。墨が心配で、力が
ないみたい。二枚目、最後だから、ゆっくり、力を入れ過ぎ、
にじんでしまった。シャープではない。試合が終わって、
家に帰る。2週間ほどたって、忘れていた。2月の朝礼、
校長先生が壇上へ僕を呼んだ。四角い箱をもらった。
中を見ると、漆塗りの硯箱だった。
ぼくは、週末に算盤検定もあるから、忙しかった。
家に帰ると、父は喜んだ。半分は父さんのものだ、と笑う。
書道塾で、試験用の半紙が裏返しの時がある。表と裏をよく
確かめて、きちんと気持ちを整えることを注意された。
ハッとなった、失敗した、と思った。楽しい、いい思い出。
小学校2年か3年だと思う。あの頃の延長だと思えば、
老後も、なんとか生きていけるような気がする。
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