2015年5月2日土曜日

青葉

ケヤキが風に揺れて
若い葉がきらきら光っている

時折強い風が吹き
太平洋の真ん中の海洋性という
あのそよそよした空気
私の周りを巡る

そろそろ幼い子どもたちを連れて
若い両親は連休の雑踏へ出かける
汗ばみ 笑顔で

そこに 老人はいない
金子光晴は詩集「若葉のうた」を編んだ
それは孫の名前だったので
ああ あの金子でさえも 「韜晦」したと
みんな絶望したが
それは違う
いまようやく
その気持ちがわかる

青葉と若葉と
詩集の名前と孫の名前と
ごっちゃですまないけれど

5月の若葉を素直に喜び
生の嬉しさを味わう
雪の降る前に散り茶色にかわいた落葉は死骸で
少しの風で飛んでしまい
堆積している黒い腐葉土のうえで
若葉は枝に張り付いて繁る

それも一年経てば落葉になる
そういうことを
しばし忘れるということを
思い知ったのだ

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