2022年10月30日日曜日

長い夢

 長い夢をみた

口を開けて寝ている

口の中に誰かが

細かな山砂を

園芸用の小さなスコップで

絶え間なく注ぎ込む

苦しいからやめてくれと言うが

あたりには誰もいない

小さな鶏小屋のそばで

夕焼け空の下

私は横になって

なぜか横須賀線の線路のそばを

漂っている

やがてようやく

誰かが私の名前を呼ぶ

しかしそれは私の名ではなく

名札は すでに取り外され

故郷の山の反対側の

海の中に

海草とともに浮かんでいる

船の白い船腹のあたりに漂う

クラゲの中に

よく似た表情の私が

笑っている


0 件のコメント:

コメントを投稿