2022年11月17日木曜日

高見順文学碑

 安宅の関から東尋坊へ行き

高見順の詩碑を拝んできた

俺は荒磯の生まれなのだ

雨も止んで

きらきら光る

日本海の確かにざわざわと

波が寄せる

海があり

三好達治や小林秀雄

日本が敗戦の時代に

越前にいて

いろんなことを思ったが

荒磯散歩道は

何か怖い毛虫が出るような

気味の悪い道で幽霊が出そうだ

遊歩と言うわりに すこし気味が悪い

草の茂る

都会育ちの子供には

ちょっと嫌な道に思える

安心できないぞと


2022年11月7日月曜日

待ち合わせ

 久しぶりに県立図書館に行く

昔の仕事仲間がいる

順調に歳を重ねている

眼はきらきら光っているが

やや疲れている感じ

いろんな顔に会う

見たことある人

30年ぶりの人

何か催事があるみたい

講演会も

僕は一足お先に卒業した

みんな先のことを何となく

考えている

死ぬまでどうすれば生きて行けるか

どのように

楽しく生きていくか

おいしいものを食ったり

好きな音楽を聴いたり

萩原朔太郎のギター

三好達治の詩

自分に納得できる時間を

充分に味わうこと

雪も楽しみ晴れも楽しみ鳥も猫も

普通に楽しんで

時々昔の算数や国語の問題を真剣に悩んで

遠い国のことや死んだ人のことを想い

暮らしていく ちちやはは 兄弟

友人

担任の先生や 詩を書く人たち

笑っていたあの話題


2022年11月5日土曜日

詩人懇話会

 20年ぶりに顔を出した

60歳の人は80歳になって

70歳で 亡くなっている人もいた

みんな 表情は柔和だった

嫌いだった人もいた

そんなことも 忘れ

やあやあ と握手した

へたくそな詩でいいさ

生きることが仕事だ

へたくそな詩で十分だ

死ぬまで生きるんだ

それでいいさ

笑顔で別れる

彼らは地下に行く

これが最後かもしれない

地下には 車があるのだ

本物の地下に行く

わけではないよ

しばし の別れなのだ

手を振って笑いながら

わかれるのだ

笑いながら エレベータのボタンを押す

開くというボタンを押しているから

いつまでもみんな

ドアの開いたエレベータに

黙って乗っている

のだった



2022年11月2日水曜日

コスモス

 空き地にコスモスがたくさん咲いている

緊急サイレンが鳴る

10時は訓練だというが

ミサイルを合計23発

お返しもしたらしい

そういうことはしないほうがいい

ロシアが警告したらしい

コスモスを玄関に飾っている

午後は良い天気だった

椎の木を剪定した

蟻が巣を作っている

チューリップを植える花壇に土を入れる

パイナップルとジンで

ブルーハワイのようなカクテルを作りたい

ブルーチーズをかじって

ウイスキーを炭酸で割って

工具が欲しい

上等の工具

チェーンブロックで

からからと巻き上げて

根っこを取り出したい

中也と小林の気持ちになっている

友人から連絡がある

登山に行ったようだ

秋の日だ

2022年10月31日月曜日

写生大会

 昭和34年に小浜公園に銅像ができた

私は小学2年生で

銅像を囲んで絵を描く

マントに短剣を下げた三方町北前川の海軍大尉

佐久間勉艇長という

岩国沖で潜水挺が浮上せず

死の直前まで克明な手記を残した

殉死 軍神と讃えられたが

それを理解するまで20年もかかった

記憶の中にある銅像は、青い服で青い顔

青色ばかりで変な絵になった

60数年前の写生大会


 明治43年(1910)4月15日、第六潜水艇遭難、乗組員14人が殉職。佐久間勉 艇長32歳。福井県三方郡生まれ、海軍兵学校29期。ガソリン潜行実験の訓練中、午前10時45分頃、浸水発生、海底に着低した。翌日引き揚げられるが、乗組員はきちんと所定の配置で息絶えていた。佐久間艇長以下、最後まで任務を全うし、事故原因、乗組員遺族への配慮を求める遺書を残し、全世界を感動させた。遺書は漢字とカタカナで子供には難しい。漱石や与謝野晶子のこともいろいろとあるみたい。

「小官ノ不注意ニヨリ陛下ノ艇ヲ沈メ部下ヲ殺ス、誠二申シ訳ナシ、・・されど艇員一同、死に至るまで皆よくその職を守り、沈着に事を処せり、・・・・・遺憾とする所は、天下の士はこの誤りをもって将来潜水艇の発展に打撃を与うるに至らざるやを憂うるにあり」「願わくば諸君益々勉励もってこの誤解なく、将来潜水艇の発展研究に全力を尽くされん事を・・・」「沈没の原因。ガソリン潜航の際、過度探入せしため、スルイスバルブを締めんとせしも、途中チエン切れ、よって手にて之を閉めたるも後れ、後部に満水せり。約二十五度の傾斜にて沈降せり」「沈据後の状況。一、傾斜約仰角十三度位 一、配電盤つかりたるため電灯消え、電纜燃え悪ガスを発生、呼吸に困難を感ぜり。十四日午前十時頃沈没す、この悪ガスの下に手動ポンプにて排水につとむ」

「一、沈下と共にメインタンクを排水せり。灯り消えゲージ見えざるども、メインタンクは排水し終われるものと認む」「電流は全く使用するにあたわず、電液は漏れるも少々、海水は入らず、クロリンガス発生せず、残気は五百ポンド位なり。ただただ頼むところは、手動ポンプあるのみ。ツリムは安全のためヨビ浮量六百、モーターの時は二百位とせり。右十一時四十五分、司令塔の灯りにて記す」「溢入の水に侵され、乗員大部衣湿ふ寒冷を感ず、余は常に潜水艇員は沈着細心の注意を要すると共に大胆に行動せざれば、その発展を望むべからず。細心の余り萎縮せざらん事を戒めたり。世の人はこの失敗を以てあるいは嘲笑するものあらん、されど我は前言の誤まりなきを確信す」「一、司令塔の深度は五十二を示し、排水に努めども十二時までは停止して動かず、この辺深度は十尋(ひろ)位なれば、正しきものならん 一、潜水艇員士卒は、抜群中の抜群者より採用するを要す。かかるときに困る故、幸い本艇員は皆良くその職を尽くせり、満足に思ふ」「我れは常に家を出ずれば死を期す、されば遺言状は既に『カラサキ』引き出しの中にあり。(これ但し私事に関する事を言う必要なし、田口浅見兄よ、之を愚父に致されよ)」「公遺言 謹んで陛下に申す。我が部下の遺族をして窮する者無からしめ給わらん事を、我が念頭に懸かるもの、これあるのみ。右の諸君によろしく。一、斎藤大臣 一、島村中将 一、藤井中佐 一、名和少尉 一、山下少将 一、成田少将」 「(気圧たかまり鼓膜破らるる如き感あり)一、小栗大佐 一、井出大佐 一、松村中佐(純一) 一、松村大佐(竜) 一、松村少佐(菊)(小生の兄なり)一、船越大佐、一、成田綱太郎先生 一、生田小金次先生」「十二時三十分、呼吸非常に苦しい。ガソリンをブローアウトせししつもりなれども、ガソリンにようた。一、中野大佐 十二時四十分なり ……」

 私は、こういう上司には、会わなかった。恐らく私も任務を全うするだろう。寒い秋空を鳥の大群がうねりながら激しく舞っている。「時代」というものを感じることができる脳みそに成長した私の脳みそに感謝している。私も小浜中学(若狭高校)だから。

2022年10月30日日曜日

長い夢

 長い夢をみた

口を開けて寝ている

口の中に誰かが

細かな山砂を

園芸用の小さなスコップで

絶え間なく注ぎ込む

苦しいからやめてくれと言うが

あたりには誰もいない

小さな鶏小屋のそばで

夕焼け空の下

私は横になって

なぜか横須賀線の線路のそばを

漂っている

やがてようやく

誰かが私の名前を呼ぶ

しかしそれは私の名ではなく

名札は すでに取り外され

故郷の山の反対側の

海の中に

海草とともに浮かんでいる

船の白い船腹のあたりに漂う

クラゲの中に

よく似た表情の私が

笑っている


2022年10月26日水曜日

南信雄さんの詩碑

 天気が良いので

越前海岸の

南信雄さんの詩碑を触ってきた

風は思ったより強く

ジャンパーのポケットから

携帯電話が飛び出そうになって

思ったよりも大きい

南風

57で亡くなった

南さんらしい詩

大きな岩に刻んであった

誰も来ないのか

塗料が剥げて略歴が読めない

仕方ないな

みんな死んでしまって

海が騒ぐばかり

赤いきつねと緑のタヌキを買う

そばのかき揚げ

うまい

この世はいろいろあるが

様々で

仕方ない

ただの生物なのだ

地球の小さな生き物なのだ

私たちは