20年前の上司が
蕎麦でも食おうと
ふらりと姿を見せた
私は京都の骨董市の話をした
布袋さん、掛け軸、あまり好きなものはなかった と
上司は快速列車で宇部へ行ったらしい
宇部は下関から行く
大根降ろしをかけた越前そばを食って外へ出る
カエデの木が紅葉していた
20年前には小さな苗木だった
こんなに立派になるのだね
誰が見ているのだろう
真面目に咲くのだね
そりゃあ損得ではないですよ
植物はね
誰かさん みたいに威張ったりしない
弱いくせに吠えたりしない
私は黙って聞いていた
誰かさんは私のことではないか
しかしこの上司は皮肉を言う人ではないから
誰かさんは私ではないと
想うことにした
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