私の係長は「まっさん」だった
同じ年であったから親しみを感じていた
しかし上司は愛称で呼べない
係長と呼んでいた
まっさんの上司は
「まっさん」と呼び、いつも人気者だった
「まっさん」は仏(ほとけ)の○○と呼ばれ
温厚でやさしく、大きな声を出さない
理想的な上司だった
その後に仕えた上司と比べると
数人を除いて
ほとんどが威張りんぼう
だった気がする
私のような変な男でも
自分が偉くなったような気がして
威張り散らしたことがある
抵抗できない弱い人たちを標的にして
まわりの空気を壊したこと
恥じている
ところが最近
怒る人も、優しくふるまう人も
持っているエネルギーは一緒ではないか
と
周囲に笑いを撒く人は
自分の腹の中に怒りをためているかもしれない
怒りを振り撒く人は
腹の中に小さなユーモアを隠し持って
いるかもしれない
みな照れ隠しで
表に出すときの選択次第ではないか
怒りのほうが素直で
優しさは我慢で
優しいほうが大変なのだ
だから 怒ってばかりいる上司の方が
本当はかわいらしい上司なのだと
怒っていた上司を思い出している
春の宵であります
私も年をとったものだ
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