2018年7月8日日曜日

洪水

子供のころ
村の半鐘がなって

怖かった
カンカンカンカン
土手が切れるぞ

やがて道路が川になり
家の中に水が入ってきた

ちょろちょろと入ってくる

母が新聞紙を丸めて
隙間に詰めたりしていたが

父がバケツに赤土をもってきて
敷居にドバっとかけて
ちょろちょろは止まった

そのまま寝ようとすると
畳は箱の上に積んで
床板は外して
仏壇はきちんと閉められて
大きな板戸に囲まれて
猫もちゃっかり
二階にいた

蔵の二階に寝た
朝起きると田んぼの向こうに
牛が死んでいた
飼い主がのこぎりで切って
かついで帰った

学校は泥だらけで
ずっと休み
うれしかった

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