歳月は流れる
すぐに
知っている人も
次々に亡くなっていく
お世話になった人
教えてもらった人
叱ってくれた人
小さな声でアドバイスをくれた
老人
みんな親切だった
大きな声で騒ぎまくる連中は
信用できない
ということを
教えてくれた
新緑の山々
美しい行事や音楽
疫病が流行って
街はシャッターを下ろして 死んだように
眠っている
まだ食糧や水があるから
うちこわし 起きないけれど
店に客が来ないと
お金が回らない
飛行機もタクシーもレストランも
明日から来ないで と言われ 労働者
頭をかかえて あちこち電話をして
飛行機会社が機内食を寄付したらしい
思えば楽しい時代だったなあ
オリンピックだあ 世界旅行 食べ歩き
うまい、シャキシャキして絶妙
タレントは 熱い天ぷらに あちち
大げさに はしゃいで 笑いを とる
天ぷらは熱いに決まっている
雨が降ってきた
あらゆるものを洗い流す
激しい雨が
流行性感冒で
学校が休みになる
登校後の調査
風邪をひいた人たちに
のけ者にされるから
熱がでた人
先生が言うと手をあげる
寄生虫の検査
薬をもらって 3匹はいないと
のけ者にされる
手をあげる
飲むと辺りが黄色に染まる
顔色の悪いA君が
長いのが出たらしい
病気と偏見
何にも変わってない
熱を出し回虫を出さないと
砂場で遊べない
おとなの世界は楽だった
静かに話せば
うしろめたい奴らは黙る
なかには凄んだり おどしたり
アクション映画のような
ことも あるけど
ほとんどは
忘却の彼方に去っていく
まてよ
砂場にいた子供が
いまの老人なのか