2022年11月27日日曜日

町内会

 若い頃は

大人たちの振る舞いに

憧れ

跳んだり跳ねたりした

今は若い人たちから

変な理屈で 支配されて

負けそうだ 

つまり お付き合いさ

誰でもまっすぐ

生きていたいから

ぼくも もっと頑強に

抵抗しようか

暴走老人というらしい

町内会で威張っても

仕方ないのに

人間ができていない

しみじみ 反省させられる

午後である







錦繍と

 うつくしいというより

微妙なやさしさ

あきは

山の葉が枯れて

落ち葉になって

もういいよこの世の美しい

色はわかった

人の心もだいたいわかった

貧しい人たちは 安い野菜を買い

金持ちはどこかの宿で 

パイナップルジュースを飲んでいる

が たいした差はない

胃の中では同じだ

ホルモンやきのせんまい

胃の中のぎざぎざ

同じさ

ココロも体も

切るか捨てるか 温存するか

死ぬまで

死ぬまで内臓に従属するか

それとも 雨の中を

影とともに歩いていくか



2022年11月17日木曜日

高見順文学碑

 安宅の関から東尋坊へ行き

高見順の詩碑を拝んできた

俺は荒磯の生まれなのだ

雨も止んで

きらきら光る

日本海の確かにざわざわと

波が寄せる

海があり

三好達治や小林秀雄

日本が敗戦の時代に

越前にいて

いろんなことを思ったが

荒磯散歩道は

何か怖い毛虫が出るような

気味の悪い道で幽霊が出そうだ

遊歩と言うわりに すこし気味が悪い

草の茂る

都会育ちの子供には

ちょっと嫌な道に思える

安心できないぞと


2022年11月7日月曜日

待ち合わせ

 久しぶりに県立図書館に行く

昔の仕事仲間がいる

順調に歳を重ねている

眼はきらきら光っているが

やや疲れている感じ

いろんな顔に会う

見たことある人

30年ぶりの人

何か催事があるみたい

講演会も

僕は一足お先に卒業した

みんな先のことを何となく

考えている

死ぬまでどうすれば生きて行けるか

どのように

楽しく生きていくか

おいしいものを食ったり

好きな音楽を聴いたり

萩原朔太郎のギター

三好達治の詩

自分に納得できる時間を

充分に味わうこと

雪も楽しみ晴れも楽しみ鳥も猫も

普通に楽しんで

時々昔の算数や国語の問題を真剣に悩んで

遠い国のことや死んだ人のことを想い

暮らしていく ちちやはは 兄弟

友人

担任の先生や 詩を書く人たち

笑っていたあの話題


2022年11月5日土曜日

詩人懇話会

 20年ぶりに顔を出した

60歳の人は80歳になって

70歳で 亡くなっている人もいた

みんな 表情は柔和だった

嫌いだった人もいた

そんなことも 忘れ

やあやあ と握手した

へたくそな詩でいいさ

生きることが仕事だ

へたくそな詩で十分だ

死ぬまで生きるんだ

それでいいさ

笑顔で別れる

彼らは地下に行く

これが最後かもしれない

地下には 車があるのだ

本物の地下に行く

わけではないよ

しばし の別れなのだ

手を振って笑いながら

わかれるのだ

笑いながら エレベータのボタンを押す

開くというボタンを押しているから

いつまでもみんな

ドアの開いたエレベータに

黙って乗っている

のだった



2022年11月2日水曜日

コスモス

 空き地にコスモスがたくさん咲いている

緊急サイレンが鳴る

10時は訓練だというが

ミサイルを合計23発

お返しもしたらしい

そういうことはしないほうがいい

ロシアが警告したらしい

コスモスを玄関に飾っている

午後は良い天気だった

椎の木を剪定した

蟻が巣を作っている

チューリップを植える花壇に土を入れる

パイナップルとジンで

ブルーハワイのようなカクテルを作りたい

ブルーチーズをかじって

ウイスキーを炭酸で割って

工具が欲しい

上等の工具

チェーンブロックで

からからと巻き上げて

根っこを取り出したい

中也と小林の気持ちになっている

友人から連絡がある

登山に行ったようだ

秋の日だ