2022年1月3日月曜日

初詣で

 小学校の書初め大会、お題「初まいり」

だった。初は左側が難しい

「ま」は最後のところが三角になるように

「い」は思い切り右がわを元気よく見せて

慎重に押さえる。りは左を少しにして

つなぐ気持ちでたっぷりと、きゅうり、のように

そしたら「特選」になって県大会に出ることになった。

大会に行くと昨年の経験者は、すでに瓶の中に家で磨った

濃い墨を持ち込んでいた。墨汁のようなもの。僕は、初めてで

知らないから、学校の水を汲んで来て、硯に入れて墨を磨った。

しかし、練習に消費してしまい、墨がみるみる減った。

父が、「墨を磨るから、お前、字を練習しろ」感謝した。

すると、僕の書道の先生(森狭江)が、やってきて

「親に墨を磨らせるなんて、自分でやりなさい」

仕方がない。家で作ってきた連中に負けてしまう。

しかし、仕方がない。いよいよ「競書会」開始、

半紙2枚。右の隅に小さな印が押してあった。一枚目、

緊張のあまり、ささっと早く書いた。墨が心配で、力が

ないみたい。二枚目、最後だから、ゆっくり、力を入れ過ぎ、

にじんでしまった。シャープではない。試合が終わって、

家に帰る。2週間ほどたって、忘れていた。2月の朝礼、

校長先生が壇上へ僕を呼んだ。四角い箱をもらった。

中を見ると、漆塗りの硯箱だった。

ぼくは、週末に算盤検定もあるから、忙しかった。

家に帰ると、父は喜んだ。半分は父さんのものだ、と笑う。

書道塾で、試験用の半紙が裏返しの時がある。表と裏をよく

確かめて、きちんと気持ちを整えることを注意された。

ハッとなった、失敗した、と思った。楽しい、いい思い出。

小学校2年か3年だと思う。あの頃の延長だと思えば、

老後も、なんとか生きていけるような気がする。

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