2012年9月29日土曜日

新詩集9

整形外科で

首を吊って引っ張る道具

肩に電気を通す機械



肩が

イタイイタイ

眠れない

しびれて

刺すような

痛み

首が廻らない

死にそう

重い

だるい

気分が悪い

首が重い


カバは

首が重いなんて

言わない

まてよ

ブルドック

人間が勝手に

バランスをこわして

帝王切開で出産するという記事

犬の本にあった


おばあさんが

服をたくし上げて

腰に電極をあてる

僕はあわてて目を閉じる


鳩の一生


このように

発表するつもりはなかったのです

夏休みの宿題を

鳩の死でごまかしました


兄が飼っていた鳩二十羽

卵が割れ

子が生まれ

何度も粟を与えていると白い鳩になり

突然羽ばたいて

頼りなく屋根の上に留まりました


ちょうどその時

どこかの鳩の集団が旋回して

あっという間に

五日たっても帰らない

さらわれてしまった


でも帰ってきた

そして翌日死んだ

兄は墓を作る

祖母は死ぬために帰ってきた

と僧侶のように唱え


講堂の児童はみんな泣いている

担任は目を赤くして

よい発表でした

先生も涙こぼれたよ


鳩の死

悲しかったのは本当です

その後

宿題ごまかしたから

いいかという気持ちになった

のも本当です


どんぐり


山でどんぐりを十個拾ってきなさい

喚声をあげて

神社の裏山へ走った

途方にくれた


暗い

蛇もいる

どんぐりは一個も見つからない


明るい道で

数十人かたまって選別している

彼らが捨てたどんぐり

虫食い

腐った

形の悪い

人が棄てたものを拾うなんて


数の概念を教える教科書に

どんぐりの絵が並んでいる

貧弱な私に同情して

先生は五個くれる

数の概念より

屈辱という体験を

すでに私は

味わっている



さよなら

       二〇〇一年九月十四日の父に



初めて

高枝剪定鋏を使いました


父さんがいつも使うから

僕は使えなかった



西から晴れて


最高気温は

日本海側で十七度

土曜日は晴れます

なだれ注意報

全域に乾燥注意

傘を忘れないように

北海道では昨日まで快晴


株価が平均一万円を割って


美濃は昼過ぎから

飛騨は夕方

福井県嶺北地方は

長野南部は曇り

大阪は昼前から曇り


静岡市と清水市が合併することを

延期して欲しい市民がいる

給料未払いなのに

所得税の源泉徴収について


心配するな そのような

こと くよくよするな


帰る場所が無い


帰る場所が無いのなら

ここにいてもいいのです

どうしても

真実を知りたいというのなら

ここにいてもいいのです

老いること

病気

死ぬこと


気性も荒く

巧言令色

しかし

この国は良い国


死はいつか

かならず

君の頭上に輝くだろう


きょうは

良い天気ですね

ふかぶかと

頭をさげて

腰を折って

世間話ができるだろう

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