2012年8月11日土曜日

卓球が好き

我が家の卓球は、板の間に5つ玉のソロバンを3つ並べてネットにして、座布団に座って、夏も冬も、盆も正月も試合をした。板の間の続きの間に60センチ四方の炉があり、夏は長火鉢が置かれていた。冬になるとあかあかと炭が(いこって)いた。「炭、いこったか」おじいさんは冬の朝、僕に話しかける。炉は、囲炉裏でなく、手あぶりと称して煮炊きは、かまどだったし、火鉢は別においてあり、おじいさんは炬燵が嫌いだった。これは僕に遺伝した。十能という小さなスコップと、こてがあり、これで、お札のしわを伸ばしたり着物の線を入れるのだった。
 銀閣寺の「向月台」のように「白い灰」をコテで抑えてきれいにすると、おじいさんは私を叱った。灰は自然にしておけ、貧乏人は灰だけでもきれいにしようとする。それはいかんというのだ。明珍の火箸でささっとしておけ。  おじいさんは僕が爪をはがしたとき、この手あぶりでキセルを温め、たばこの「やに」をこよりでとって指に施した。冬の卓球でスマッシュをすると囲炉裏にセルロイドの球が飛び込み溶けてしまう。それでカチコミ(スマッシュ)禁止というルールにした。ただし強い人が囲炉裏を背にした場合はカチコミを許すという特例も設けた。「原則として」という役所の文を読んだとき、これを思い出した。

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