2012年8月18日土曜日

ラグビーの東西試合でトライ

大学1年生の体育は早い者勝ち。1番人気はゴルフ、次にボウリングとアイス・スケート。後楽園や池袋スケートリンクは、楽しい。しかし僕は寝坊して申し込みに遅れてしまい、係員に「はいはいこちら」と誘導され、バレーとラグビーしか残っていなかった。まあいいか、ラグビーもいい経験になるわい。楽しかった。というよりラグビーを受ける羽目になった学生は、文学部のなかでも特にぐうたらで、そこで指導するラグビーの教官は日体大の筋がね入りだから、やりとりは頓珍漢で面白かった。力いっぱい走れ。いやだ、心臓が弱い。錆色の痰が出ておれはもうすぐ死ぬ。長野から来て小説を書いている2人がいうことをきかない。二人がスクラムを組んでいると、ボールが「ころころ」と入ってくる。手をついたふりをして二人の眼に砂をかける。「うわうわ」と叫んでいる。球はすでにどこかに行っている。夕焼けのグランドから池袋に帰ってくる。銭湯で流したお湯が茶色。刺青の兄さんにもっと向こうで泥を落としてこい。ラーメンを食ってビール飲んで。最後の日に出身別の東西試合をした。僕は西軍でトライ。教官は「いい動きだ」ほめてくれた。「高校時代に国体があり、日体大出身の先生が担任で」というと、教官は、「あいつはいい奴だ、よく知っているよ」とボールを蹴った。何か言いたいことがあるようだった。その日、合格祝いのシチズン・クリスタルセブンの大事な時計を亡くした。着替えの紙袋に穴があいていて、落ちたらしい。みんなが同情して一列にならんで探してくれたが暗くなって、見つからなかった。時計は川越にあるはずだ。東上線の鶴が島駅前にはパチンコ屋が1軒あり、ハイライトを1個獲得した。3月まで高校生だったのに、えらくたくましくなった。

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