2012年8月16日木曜日

バレーの島崎君

島崎君はバレーボールの国体選手だった。ある日、職場の試合で前列同士で対戦した。
こちらからサーブを出し、やわらかくとられて、やがて島崎君がスパイクを打つ。
「どいてどいて、骨折るよ、そうそう、どいてどいて」。島崎君は、笑いながら僕に、そう言った。
やがて垂直に「どっすん」とボールを床にたたきつけた。ブロックは危ないから取りやめた。
それから2年ほどたって、市内のスーパーの駐車場で、車のクラクションが鳴り続けた。
店の中から戻った彼の奥さんは、島崎君が、自分の厚い胸板でクラクションを押し続けながら亡くなっていたことを知ったのだ。

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